導入事例
取材日:2025/11/4
出来高・流動性
出来高も株価も倍増。当選確率30倍となった工場見学会で個人投資家からの評価を実感
1900年代半ばにスタートした電機製作会社2社をルーツに持つサクサ株式会社。中堅・中小企業向けビジネスホンをはじめ情報通信機器の自社開発・製造・保守を強みに成長を続け、現在、資本コスト・株価を意識した経営による新しいサクサの誕生を目指しています。その施策の一つとして導入されたのが「プレミアム優待倶楽部」。総務部 総務グループの大竹様と津田様に手応えを伺いました。
- お話をうかがった方
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サクサ株式会社
- 管理統括本部 総務部 総務グループ
- グループ長 大竹様
- 津田様
- 課題
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- ■ 中長期的に保有していただける個人株主様の獲得
- ■ 個人投資家への“サクサらしさ”の伝え方
- ■ 個人投資家とのコミュニケーションツールの上手な利活用
- 解決策
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- ■ プレミアム優待倶楽部の導入による株主還元策の拡充
- ■ グループ企業の協力による“サクサらしさ”伝播の仕組みづくり
- ■ プレミアム優待倶楽部を活用したイベント集客
- 効果
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- ■ 出来高、株価ともに倍増
- ■ 個人株主数が1.5倍に 増加
- ■ 株主様向け工場見学の申し込み数が募集数の30倍に
中長期保有の株主様への還元策として株主優待制度を導入
――「プレミアム優待倶楽部」を導入された経緯をお聞かせください。
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大竹様:
当社では2022年、プライム市場の上場維持基準新設を機にIR室を立ち上げました。
当時、当社の流通時価総額は約70億円。100億円にまで引き上げるため、また、機関投資家の参入条件なども考えると、まず個人投資家の獲得を進めなくてはなりませんでした。そこで、個人株主様の増加を第一の目標に、株主様との対話強化を軸にした活動を行っています。
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一方、当社では2021年度の中期経営計画で「サクサは変わる。」を掲げて以降、新しいサクサの誕生を目指した変革を進めています。2024年度の中期経営計画では「共に創る未来」をテーマに、 資本コスト・株価を意識した経営に向け成長投資と共に、株主還元による早期のPBR1.0倍以上を目標としています。
株主還元を投資と捉えて増配に取組み、さらなる株主還元策の拡充として、2024年に株主優待制度の導入を決定。11月に株主優待の運用プラットフォームとして「プレミアム優待倶楽部」の導入をリリースしました。 ――「プレミアム優待倶楽部」をどうやって知ったのでしょうか。
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津田様:
IR室立ち上げてすぐに増配と株主優待の検討を開始しました。ただ、株主優待は行ったことのない施策。当時のIR担当役員がウィルズさんを知っていたことから、一度話を聞いてみようと連絡したのがきっかけでした。 -
大竹様:
ただその頃は2021年度中計の真っ最中。コロナ禍の影響からの回復と中計目標の達成を優先するために、話は聞いたものの株主優待の検討をいったん休止にしました。その後、中計の長期目標「売上高400億円、営業利益25億円、ROE6.5%以上」を早期に達成したこともあり 、次の中計を開始した2024年に株主優待の検討を再開しました。 -
津田様:
先に増配に着手していましたが、中長期的に株を保有していただける個人株主様の獲得のためには増配では十分ではないと考えたのです。
当社は2024年からの中計3カ年で力をチャージし、2027年からの3カ年でローンチ、そして、2030年にありたい姿になるという目標を掲げています。こういった私たちの成長戦略を理解し、寄り添っていただける株主様に出会いたい。そのためには、中長期的に株を保有していただけるような株主還元策として株主優待制度が有効だと判断しました。 -
大竹様:
株主優待制度を新設するにあたり、コストや事務局側の手間など新たな負荷も考えられましたが「“個人株主を増やす”という命題にまい進する」といった意思統一がなされていたので、検討再開から3カ月ほどでプレミアム優待倶楽部の導入に至りました。
株主優待でも“サクサらしさ”を伝えたい
――「プレミアム優待倶楽部」を選ばれた理由を教えてください。
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津田様:
重視したのは“サクサらしさ”です。当社はB to B企業なので自社製品を優待商品にすることはできません。そういった意味で、株主様への”サクサらしさ”の伝え方に課題感を持っていました。
私たちの思いを叶えられ、株主様にとっても有益なサービスという観点でクオカードの配布をはじめ、株主優待に関するサービスをいくつも検討したところ、プレミアム優待倶楽部では当社らしい“色”をつけることができると知り魅力を感じました。 -
大竹様:
当社には「前例踏襲ではなく新しいことをやっていこう」という社風がありますから、 クオカードのような金券ではなく、他社とは違うサクサらしさが出せるものをという思いもありました。 -
津田様:
株価を上げることだけが目的であれば、金券を配布するだけで良いかもしれません。しかし私たちは、サクサのことを応援してくださる株主様と共に目標に向かって歩みたい。ファンになっていただくためには“サクサらしさ”を出すことが重要だと考えています。 ――「プレミアム優待倶楽部」で、どのようにして“サクサらしさ”を出しているのでしょうか。
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現在、サクサグループのマザー工場であるサクサテクノ株式会社や株式会社ソアーといったグループ会社が所在する山形県米沢市の特産品をはじめ、北海道や青森などグループ各社の本社が所在する地域の名産品を優待商品に入れています。
グループ会社には地元の名産品を扱う会社にアポイントを取ってもらいました。グループ会社の多くが地域に密着しているため、地元のことをよく知っています。事業でお取引のないような会社にも声をかけてくれ、私たちが説明にうかがう際も同行してくれるなど、グループ全体でサクサの株主優待を盛り上げてくれています。
――検討開始から3カ月で「プレミアム優待倶楽部」導入を決定された決め手は何でしょうか。
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津田様:
株主優待が中長期的な株式保有に有効だとは思いつつも、私たちではどのように制度設計をすれば良いか未知でした。
対してウィルズさんの担当者から提案されたポイント設計は、当社の費用感に沿った提案で、獲得したい株主様像も合致、他社様との比較や目的に対する効果などの説明もあり、IR施策として納得感が高いものでした。おかげで社内への説明や承認もスムーズに進められたと感じています。
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工場見学会は応募殺到で当選確率30倍に
――2025年3月末時点の株主様より適用を開始され、初めての運用を終えられました。手ごたえはいかがでしたか。
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津田様:
株主名簿を閉めてみて、個人投資家の数が圧倒的(1.5倍)に増えたことを実感しています。想定以上に増えていて、プレミアム優待倶楽部の効果はすごいと感じています。
現在、世情も相まって当社の株価は倍になっています。プレミアム優待倶楽部を開始して出来高も倍になり、株価も上がりやすくなっているのではないかと感じます。これらは個人投資家から評価された結果だと思っています。
また、これらの一連の成果には、当社の株主優待の良さを感じる場としてのプレミアム優待倶楽部の存在が、大きく寄与しているのではないかと思うのです。一方、株主優待制度導入で投資家からの問い合わせが増えると想定していましたが、プレミアム優待倶楽部のコールセンターで受けてもらえることで、私たちの負担はほとんどなく、助かっています。
もう一つ、成果としての驚きは先日行った工場見学会です。
サクサのプレミアム優待倶楽部だけでなく、ウィルズさんが運営する「プレミアム優待倶楽部PORTAL」の個人投資家の方へ工場見学会のお知らせを行ったところ、10組の募集に対して300件以上の応募がありました。 -
大竹様:
この工場見学会は、当社として初めての試みでした。対話の面でも”サクサらしさ”を出したく、当社と同様規模の企業で工場見学を行っているところは多くないことが分かり、思い切ってやってみようとの挑戦でした。 -
津田様:
工場見学会は山形県にあるグループ会社2社の見学を、バスを借り切ってのバスツアーで行いました。1社はビジネスホン製造会社で現場を見ていただき、もう1社は有機EL製造会社で、半導体工場のようなガラス張りの工場を見ていただきました。昔ながらの工場と最先端の工場、2つを見ていただけるのもサクサならではと思います。 ――工場見学会は個人株主様と直接対話ができる機会ですね。成果はいかがでしたか。
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津田様:
工場見学会には当社の社長と、見学対象のグループ会社の社長が帯同。参加いただいた株主様とたくさん話をしている姿を見るに「トップと株主様との対話」をうまく進めることができたと実感しています。また、社外取締役にも参加いただいたので、東証から指摘されている「社外取締役と株主との対話」という点でも良い機会となりました。 -
大竹様:
参加者アンケートのほとんどが「満足した」「楽しかった」との回答で、社長も「工場見学会を実施して良かった」とコメントしていました。 -
津田様:
またアンケートには「指数だけで株を購入したが、実際に工場を見たら思い入れが強くなった。長期保有させていただきます」と書かれている方がいて、狙い通りの成果を感じています。参加者全員が「来年も行ったほういい」と回答していたので、来年も開催予定です。
株主優待制度1年目は成功
――これからの課題を教えてください。
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津田様:
当社の株主優待制度1年目はとてもうまくいったと確信しています。しかし、現状維持ではいけない。新しい地域の優待商品を加えるなど、さらに株主様に楽しんでもらえるよう成長させていくつもりです。
また、プレミアム優待倶楽部に付属する株主向け掲示板「株主ポスト」をうまく利用できるようになりたいです。
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津田様:
株主様とのコミュニケーションツールとして以前から、IR用メール配信ツールを利用していました。株主でなくても当社からの情報が配信されるという仕組みです。企業説明会などで周知し登録を募っていました。
一方、株主ポストは個人株主様がプレミアム優待倶楽部に登録することで得られる、株主様との直接的なコミュニケーションツールです 。今回の工場見学会の応募状況を見ても株主ポストの有効性は一目瞭然ですから、従来のツールとのすみわけを検討しつつ、利活用の方法を模索したいと思っています。